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フィクション世界における科学

フィクション世界における科学

ここまでの問いをさらに進めると、フィクション作品の中に描かれる世界そのものに、科学を考えることができるのではないかという発想に至ります。これを本サイトではフィクションサイエンスFiction Science, SF)と呼ぶ。

現実世界における科学は、観測される現象を記述し、それらの間に存在する関係を明らかにし、一定の条件のもとで生じる現象を説明・予測するための体系です。これに対して、フィクション世界では、現実世界には存在しない物質、エネルギー、生命、相互作用などを自由に設定することができます。しかし、それらを導入した時点で、その世界には現実世界とは異なる現象が生じる可能性があります。

例えば、ある世界に「魔力」という未知のエネルギーが存在すると仮定します。その魔力が物体を動かしたり、熱を発生させたり、生物の能力を変化させたりするのであれば、魔力とそれらの現象との間には何らかの関係が存在することになります。魔力の存在量や状態、他の物質やエネルギーとの相互作用を考えることで、ある条件のもとでどのような現象が生じるのかを考察することもできます。

このような視点に立つと、フィクション世界における科学は、現実世界の科学を単純に当てはめることとは異なります。現実には存在しない要素を含みながらも、その世界の中では一定の規則性を持って現象が生じることを考える必要があります。つまり、重要なのは「現実の科学で説明できるか」だけではなく、その世界に設定された要素と現象の間に、どのような関係が成立しているのかということになります。

さらに、そこには「設定」と「法則」の違いも現れます。「この世界では魔法が使える」という記述は、その世界に存在する設定の一つです。しかし、その魔法がどのような条件で発生し、何に作用し、どのような結果を生じるのかが定められていれば、そこには単なる設定を超えた規則性が現れます。そして、その規則性から未知の条件における結果を予測できるのであれば、それは個々の現象を説明するための設定ではなく、その世界における自然法則として捉えることができるかもしれません。

ここで、さらに別の問いが生じます。

フィクション世界における現象を、その世界に固有の科学として扱うためには、何をどのように記述すればよいのでしょうか。

現実世界に存在しない要素を追加するだけで十分なのか。それとも、その要素が構成する構造や、他の要素との関係、状態の変化や遷移まで考える必要があるのか。また、現実世界には存在しない現象であっても、その内部に一貫した構造や規則性を見出し、そこから現象を説明・予測することは可能なのでしょうか。

こうした問いは、架空の現象を「それらしい設定」として記述することから、その現象が成立する構造そのものを考えることへと、視点を移すきっかけとなります。

この記述する方法の一つとして本サイトでは象造遷造作用論を提唱します。

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