Imesia-Tresia Action Theory
このサイトについて
本サイトでは、魔法という作用を、その現象論から体系化し、その世界の物理法則として落とし込むことで、現象の数値解析や予測を可能にするための一つの方法について説明します。
具体的には、魔法を行使する術者が思い描く情報構造である象造(Imesia)と、物理現象がとりうる情報構造である遷造(Tresia)を定義し、その一致度がとある物理量、もしくは遷移確率に作用するという仮定を置くことで、魔法現象を数値解析可能なものとして扱います。また、実際にPythonを用いた数値解析シミュレーションを行い、その振る舞いを考察していきます。
また、これらの考え方は、フィクション-サイエンス-フィクション(Fiction-Science-Fiction, Fi-Sci-Fi)という方法論として位置付けることができます。これを用いることで、本サイトで考察する魔法世界だけでなく、様々な作品におけるフィクション世界の自然法則と、そこから導かれる生命、文化、社会、技術などについて考察するための体系的なモデルを構築することを目指します。
詳しくは、各セクションのページをご覧ください。
背景と問題提起
まずはこのサイトの根幹となる、本サイトのテーマである象造遷造作用論を構想するに至った背景と、そこから生じた問題について解説する。
本サイトでは、現在の作品のあり方を否定するのではなく、そこに別の可能性を加える一つの考え方として、フィクション世界における自然法則を構築し、そこから世界のあり方を考察する方法を提案します。
フィクション-サイエンス-フィクション (Fi-Sci-Fi)
象造遷造作用論では、魔法を単なる設定として与えるのではなく、その世界で実際に起こる現象として扱い、どのような法則によって魔法が成立するのかを考えます。
例えば、ある世界に魔法が存在するとします。そのとき重要なのは、単に「魔法が使える」と設定することではありません。
その魔法が存在する世界では、何が可能なのか。
何が不可能なのか。
その法則によって、人々は何を発見し、何を作り、どのような生活を営むのか。
魔法が存在すれば、それに適応した科学や技術が生まれます。技術が変われば生活が変わり、生活が変われば文化や社会の構造も変わっていきます。 つまり、世界の自然法則を変えることは、その世界の一部分だけを変えることではありません。その法則の上に成立する世界全体のあり方を変えることになります。
フィクション-サイエンス-フィクション(Fiction-Science-Fiction, Fi-Sci-Fi)は、このような考え方から、フィクション世界を設定するのではなく、そこに存在する法則から導出していくための方法論です。
本サイトでは、象造遷造作用論をそのための一つのモデルケースとして、魔法や超科学を含むフィクション世界が、どこまで自然科学的・数理的に記述でき、そこからどこまで世界そのものを導出できるのかを考察します。
サイエンスフィクションとフィクションサイエンス
サイエンスフィクション(Science Fiction, SF)は、科学や技術の発展によって生じ得る未来や、現実とは異なる科学技術を持つ世界を題材とするフィクションの一つです。
本サイトでは、こうしたSF的な発想をさらに逆方向から考えます。現代の自然科学を延長して「どのような未来や架空の世界が考えられるか」を考えるのではなく、まず架空の世界に存在する自然法則そのものを構築し、その法則から「その世界では何が起こり得るのか」を考えます。
このような、架空世界における自然法則を構築し、そこから現象を導出するための考え方を、本サイトではフィクションサイエンス(Fiction Science, FS)と呼びます。
象造遷造作用論は、このフィクションサイエンスを構築するための一つのモデルケースとして、魔法という現象を数理的・物理的に記述することを試みるものです。
象造遷造作用論(Imesia-Tresia Action Theory, ITAT)
魔法が本当に存在する世界では、その魔法はどのように物理現象を変えるのでしょうか。
魔法が使えることを前提として物語を作ることはできます。しかし、もし魔法がその世界に実際に存在する現象だとしたら、そこには「なぜ魔法が使えるのか」「何ができて、何ができないのか」「魔法が存在することで生命や社会、技術はどのように変化するのか」といった問題が生まれます。
そして、それらは単なる設定として自由に決めることができるものなのでしょうか。本サイトでは、こうした問いを、「情報」と「現象」の関係という観点から考察します。
そのために本サイトでは、現象を「物理的に起こり得る構造」として捉える遷造(Tresia)と、術者が意図した現象を情報構造として表現する象造(Imesia)という二つの概念を導入します。
象造と遷造の間にどのような関係が成立するのか、またその関係が物理現象の起こりやすさや選択される結果にどのような影響を与えるのかを考察することで、魔法を単なる設定ではなく、一定の法則に従う現象として扱うことを目指します。そのためのモデルの一つとして、本サイトでは象造遷造作用論という理論を提唱します。
象造(Imesia)
象造(Imesia)とは、魔法を行使する者が思い描く、「こうなってほしい」という現象のイメージを、情報構造として捉えたものです。
それは単に最終的な状態だけを指すのではなく、物体の状態や配置、そこに至るまでの変化や遷移を含んだ、理想的な物理状態の構造として表現されます。
たとえば「火を生み出す」という魔法であれば、炎が存在するという結果だけではなく、どこに、どのような状態で、どのように変化していくのかという、術者が意図する一連の現象を含んだイメージが象造となります。
象造は、術者の意図そのものではなく、術者が発現させたい現象として想定した情報構造を扱う概念です。
遷造(tresia)
一方、遷造(tresia)は、現実世界において物理的に許容されている状態と、その状態間を結ぶ遷移や経路の構造を扱います。
物理現象では、ある状態から別の状態へ移ることができる場合でも、そのすべての経路が同じように実現するわけではありません。エネルギーや相互作用、周囲の環境などによって、実現しやすい状態や遷移しにくい状態が生じ、そこには確率的な揺らぎも存在します。
遷造では、このような物理的に可能な状態、遷移状態、それらを結ぶ経路、そして各遷移の実現しやすさを含めて、一つの構造として捉えます。
象造遷造作用
では、術者が思い描いた理想的な状態や変化は、どのようにして実際の物理現象として世界に現れるのでしょうか。象造遷造作用は、この問いを扱うための概念です。
術者が思い描いた状態や変化が象造として構成され、それが物理世界で実際に起こり得る状態や遷移である遷造と関係することで、魔法という現象として現れる。
つまり象造遷造作用とは、情報として構成された「こうなってほしい」という構造が、物理世界における実際の作用として現れる過程を考えるものです。
ここでは、魔法を「何でも自由に実現できる力」として扱うのではなく、物理世界が持つ可能性の中で、どのような条件や構造の一致によって、特定の現象が魔法として現れやすくなるのかを考えます。
そして、その作用を数理的に記述することで、魔法を単なる物語上の設定として扱うのではなく、条件を与えればその結果を予測し、数値シミュレーションによってその振る舞いを調べられる現象として扱うことを目指します。
そのために、象造と遷造の構造を整理し、両者の関係から象造遷造作用をどのように記述できるのかを考察していきます。